ここからは、仕組み預金の特徴をはじめ「仕組み預金のメリットやデメリット」「仕組み預金の選び方」などについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【基本情報】定期預金について
仕組み預金について理解するためには、まず定期預金について知っておくことが前提となります。ここでは定期預金について詳しく解説していくので、ぜひ定期預金の理解を深めていきましょう。
定期預金の定義は一般社団法人全国銀行協会によって「はじめに預け入れ期間を決めて利用する預金。満期日まで基本的に引き出せないが、普通預金に比べて金利が高く、収益性の高い預金」と定められています。条件などによって異なることはありますが、基本的に定期預金は普通預金のように自由に引き出すことができない分、金利が高く設定されている預金であり、お金を安全に保管しながら増やせるという特徴を持っています。
比較的好金利がねらえる定期預金には「外貨定期預金」や「仕組み預金」があります。
外貨定期預金は、金利の高い国の通貨で預金することで、その国の高い利回りを得られるという特徴があります。現在超低金利が続いている日本の預金では、定期預金をしても思ったように増やすことができません。そのため外貨定期預金を利用する方も増えているようです。
ただし外貨定期預金は預金ではありますが、元本保証がないという特徴があります。
為替の変動で円安になれば金利に加えて為替差益も得られるので預金を大幅に増やせる可能性がある一方で、円高になればで日本円に戻した際に元本割れになる可能性もあります。また、預金保険の対象でもありません。
定期預金のもう一つの種類が今回この記事でご紹介する仕組み預金です。仕組み預金は簡単にいえば、預けたお金を金融機関がデリバティブ取引という方法で運用することで、高い利回りを期待できる預金商品のことをいいます。
つまり仕組み預金は定期預金の種類のひとつであり、定期預金で預金額を増やしたい方が知っておきたいものでもあります。仕組み預金については、次項にてさらに詳しく解説していきます。
ポイント
・仕組み預金は定期預金のひとつ
・効率的に預金を増やす方法として知っておきたい預金の種類である
【初心者でもわかる!】仕組み預金の種類や特徴
定期預金のことは知っていても、仕組み預金については初めて知った、もしくは詳しく知らなかったという方も少なくないでしょう。そんな方のために、ここでは仕組み預金の種類や特徴を詳しくご紹介していきます。
仕組み預金とは
前項でも簡単にご紹介しましたが、仕組み預金とは金融機関がデリバティブという取引を組み入れることで高い利回りを期待できる預金商品です。デリバティブ取引とは、お金や株式などの原資産のリスクを減らしたり収益を向上させたりすることを目的とした運用手法のことをいいます。
たとえば将来売買することをあらかじめ約束する「先物取引」もデリバティブ取引のひとつです。このデリバティブ取引を預金商品に組込むと、一般の預金より高い金利が期待できる預金商品となります。
仕組み預金は各銀行がさまざまな商品を提案しています。
外貨で預けられるタイプの仕組み預金もあれば満期時に元本が確保される商品もあります。また預け入れの期間などの条件も商品ごとに異なるので、目的に合わせて商品選びをすることが大切です。
仕組み預金の種類
仕組み預金にはさまざまな種類があり、初心者でも取り組みやすいものとして、「フラット型」と「ステップアップ型」という2つの種類があります。
フラット型は始めから決められた一定の金利で利息を得られる方法です。
当初の金利は、ステップアップ型に比べて高めに設定されていることが多く、満期まで金利が一定で変わらないという点が大きな特徴です。
預入時の金利が満期までそのまま続きますので、安定した金利を得ることができます。
ステップアップ型は、保有年数に応じて金利が上がる仕組み預金です。
運用当初の金利はフラット型よりも低く設定されていることが多いですが、長期間保有するにつれて金利が上がっていくので、保有期間が経過するほど得られる利息が多くなります。
ただし、いずれのタイプも商品によって商品性が異なりますので、ご検討の際には商品概要をしっかりと確認し
ご自身に合った商品を選択することが大切です。
このように仕組み預金は通常の定期預金よりも高い利回りを狙っている方に向いている預金です。これまで定期預金を利用していても思ったような利回りを得られず不満のある方、同じ定期預金を利用するのなら利回りの高い方を選びたい方はぜひ仕組み預金を検討してみてはいかがでしょうか。
ポイント
・仕組み預金はデリバティブ取引を用いてより高い利回りを狙える定期預金
・仕組み預金には「フラット型」と「ステップアップ型」の大きく分けて2種類があり、自分に合った仕組み預金を選ぶことが大切
【知っておきたい!】仕組み預金のメリット・デメリット
仕組み預金を利用するなら、知っておきたいのがそのメリットやデメリットです。安心して自分の資産を預けるためにも、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで仕組み預金を行うかどうかを決めましょう。
メリット
仕組み預金のメリットとして、一般的に普通預金よりも好条件の金利設定であるということが挙げられます。もちろん利用する銀行のサービスや各商品の条件によるため一概にはいえませんが、一般的には普通預金よりも定期預金や仕組み預金を利用したほうが高い利回りを期待できます。お金を増やすためには定期預金や仕組み預金を利用した方がいいと認識されているのも、金利のよさからくるものです。
また仕組み預金は商品によっては株式などと異なり、リスクを抑えた運用として利用することができます。
ご紹介したように仕組み預金にはフラット型とステップアップ型の大きく分けて2種類がありますが、どちらにしても定期預金よりも金利面が有利でありながら、株式投資のような大きなリスクをはらむことがないので一定の安心感があります。
さらに円建て仕組み預金の場合、中途解約の違約金などの制約は存在しているものの、預金保険の対象となります。満期まで預ければ元本が確保される商品もあるので、今すぐ必要ではないけれど減らしたくないお金の運用方法としてはメリットが大きいでしょう。
そして貯蓄が苦手な方でも始めやすい預金の方法であるともいえます。貯蓄が苦手な方の特徴として、お金があると使ってしまう性格の方が挙げられます。このような方には先取り貯蓄といって給与などの定期収入が入った際に貯蓄分を先に預けてしまうのが有効だとされています。キャッシュカードやアプリなどで簡単に引き出すことができず、かつ決まった金額をしっかりと積み立てられ高い利回りを期待できる仕組み預金はそんな方にもぴったりです。
デメリット
仕組み預金のデメリットとしては、投資信託や株式投資といった元本保証のないリスク商品に比べると利回りが低い傾向にあるということです。そのため大きな運用利益を狙っている方には不向きな商品であるといえます。
また仕組み預金は基本的に1年~15年といった中長期での満期が設定されているケースが多いですが、原則として中途解約ができず、やむを得ず中途解約する場合は元本割れが発生します。
また、商品によっては満期日が繰り上がる可能性や元本が外貨で払い戻される可能性などもあるため、商品概要を確認してそれぞれのリスクを知ったうえで利用するようにしましょう。
さらに外貨建て仕組み預金の場合は、預金保険の対象となりません。為替手数料や為替リスクなども存在するので注意が必要です。
さらに外貨建て仕組み預金の場合は、預金保険の対象となりません。途中解約の違約金や為替手数料、為替リスク、また元本を外貨で払い戻されるリスクや満期日の変更リスクなども存在するので注意が必要です。
このように仕組み預金にはメリットもデメリットも存在しますが、今の定期預金に満足できない方やせっかく定期預金をするのなら高い利回りを狙いたいという方にはおすすめしたい商品です。デメリットやリスクをしっかりと把握していれば、そこまで大きな不安を感じるような預金方法ではないと言えるので、商品選びに悩んでいる方は仕組み預金を検討してみてはいかがでしょうか。
ポイント
・仕組み預金は高い利回りを狙え、ほかの投資方法ほどのリスクのない運用方法
・中途解約ができないデメリットや元本割れなどのリスクを理解したうえで利用しよう
【要チェック】仕組み預金(銀行)を選ぶ際の注意点
仕組み預金の商品を販売している銀行は数多くあり、また仕組み預金自体の種類も豊富であるため、選ぶ基準や注意するべきことがわからないという方もいるのではないでしょうか。そんな方のために、ここでは仕組み預金を選ぶ際に注意したい点をご紹介していくので、ぜひチェックしながら自分に最適な仕組み預金を見つけましょう。
預入期間や受取通貨が変更される商品がある
仕組み預金は金融機関や商品によっては、満期が繰り上げされるまたは逆に延長されることがあります。満期が延長することで想定していた利用ができなくなる可能性があり、その場合は解約の必要性が生じることも考えられます。
基本的に満期日選択権行使の際に預入時と比べて市場金利が下がっている場合は満期日が繰り上げになる可能性が高く、逆に市場金利が上昇している場合は満期日が当初満期日となる可能性があります。利率によって満期が変動する可能性のある預金方法なので、余裕資金で行うことが大切です。
また満期時の受取通貨の決定権が金融機関にある商品もあるので注意が必要です。特定の通貨を希望する場合はその希望に添えないことがあるので気をつけましょう。
外貨建てにはリスクがある
外貨建てを行う場合は、元本割れのリスクや預金保険の対象外であるというリスクも存在するので注意しましょう。外貨の場合、為替変動のリスクが伴います。為替相場が変動することで受け取りの外貨元利金を円換算した際に、円ベースで元本割れとなることがあることを理解しておきましょう。
また為替相場に変動がない場合でも、往復の為替手数料がかかるので受け取り時の円貨額が預入時の払込円貨額を下回ることもあるので注意してください。そして外貨建ての場合は預金保険制度の対象外となります。
預金保険制度は金融機関が万が一破綻した場合に、預金者の預金などを守ってくれる制度のことをいいます。この対象外となる外貨建ての仕組み預金商品は、万が一の際に資産が保証されないことを理解しておきましょう。
原則として中途解約ができない
仕組み預金は基本的に中途解約ができません。
やむを得ず中途解約が必要になった場合は、金融機関の許可を得て解約できるともされていますが、その場合は違約金が発生するというデメリットがあります。
そして仕組み預金のなかには元本確保がされている商品もありますが、通常この元本確保とは満期まで保有していた場合に適用される制度です。中途解約を行い違約金が発生すると、たとえ元本確保の商品だとしても元本割れしてしまう可能性があることを理解しておきましょう。
最低預入金額が設定されているケースがある
仕組み預金は最低預入金額が設定されていることがあります。金額は「10万円以上」または「30万円以上」と決まっていることが多いですが、なかには「100万円以上」といった大きな額が定められている商品も存在しています。
すでにご紹介しているように満期日や受取通貨が金融機関の判断で変更される可能性があるので、仕組み預金は余裕資金で行うのが前提です。最低預入金額をクリアするために必要な預金まで仕組み預金に充てるということがないようにしましょう。すぐに使う予定がないので、好金利で、どこかに預けておきたいというような資金なら仕組み預金がおすすめです。
申し込みを受け付けられないこともある
仕組み預金を利用できるかどうかは、銀行の判断によります。信頼性など総合的な判断に基づき、申し込みができない場合もあるのでその点は理解しておきましょう。判断の基準は銀行や商品によって異なるので、もしも断られた場合でもほかの銀行では受け付けてくれることがあります。
このように仕組み預金には普通預金や定期預金にはない注意点があるので、これらをしっかりと理解して利用することが大切です。少しでも不安要素がある場合や、自分にとってメリットを感じられない場合はほかの預金方法や投資方法を検討してみることも大切です。
ポイント
・仕組み預金ならではの注意点を知っておこう
・リスクも理解したうえで仕組み預金を利用するかどうか考えてみて
迷ったら専門のアドバイザーに相談してみるのもアリ!
仕組み預金は定期預金に比べて高い利回りを期待できる商品であり、またほかの投資方法よりもリスクが抑えられるものでもあります。そのため定期預金の経験がある方や、効率的にお金を貯めたい方、なかなか貯まらないと感じている方やこれまでの預金では思うような利回りを得られず満足できなかった方などが検討するべき預金方法であるといえるでしょう。
メリットが多い仕組み預金ですが、デメリットやリスクもあるため迷ったら専門のアドバイザーに相談するのもおすすめです。金融機関によっては仕組み預金を含め預金のプロが在籍しているので、自分に合う方法を見つけるためにも安心して預金をするためにも、ぜひプロのアドバイザーがいる金融機関を利用してみてはいかがでしょうか。